加齢黄班変性症の新薬

スポンサーリンク

加齢黄班変性症は場合によっては失明につながる恐れもあり、早期に治療することが必要になります。加齢黄班変性症は病変部に弱いレーザー光を当て、新生血管の増殖を抑える「光線力学療法」(PDT)が主流です。ただし、これにはデメリットがあり、効果が限られることと周囲の正常組織も破壊してしまう恐れもあることです。

このようなデメリットを解消するために開発されたのが滲出型の加齢黄斑変性症治療薬「マクジェン」と呼ばれる新薬です。マクジェンは、加齢などが原因で物がゆがんだり、視野の中心が欠けて見えるなどの症状を起こす滲出型(しんしゅつがた)の加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration:AMD)の治療新薬です。マクジェンは、病的な血管の成長や血液などの漏出をひき起こす原因となる体内の物質の働きを抑え、病的な血管の成長を遅らせることで、視力が低下する速度をゆるやかにします。これはマクジェンが眼内における病的血管新生への関与がもっとも深いと考えられている血管内皮細胞増殖因子(VEGF)165を特異的に阻害しているからです。

このように特定のタンパク質に特異的に結合してそのタンパク質の機能を阻害するものはアプタマーといいますが、マクジェンは日本初のアプタマー医薬品です。また、マクジェンは眼球内(硝子体内)に投与する注射剤なので、薬剤が必要とされる眼底に確実に到達させることができます。

大阪大など国内14施設が実施した臨床試験で、患者95人に対し6週間に1回ずつ、1年間薬を注射したところ、4割以上の患者で視力改善か、現状維持が確認できました。注射に伴う眼内炎などは起きましたが、症状は一時的で、重大な副作用はみられませんでした。

加齢黄班変性症の治療法の一つである光線力学療法では2泊3日の入院が必要なのに対し、マクジェンは注射1本で済み、通院で治療できる新薬です。

マクジェンは、国内初の「核酸医薬」としても注目されています。DNAを構成する核酸は、自在に合成することができます。マクジェン同様に、VEGFを狙った加齢黄斑変性症の治療薬に、抗体医薬「ルセンティス」という新薬があります。「抗体」というたんぱく質が材料となっている医薬品で、マクジェンより治療効果が高いとされています。大阪大教授の田野保雄さん(眼科)は「マクジェンは抗体医薬に比べ、効果はやや低いが、安全性は高いと言える。抗体医薬は心筋梗塞(こうそく)などの副作用の恐れもあり、今後は両者をうまく使い分けることが大切」と話しています。

スポンサーリンク

Page Top

FX Online Japan inserted by FC2 system