血管新生緑内障と加齢黄斑変性の関係

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血管新生緑内障とは、糖尿病網膜症が原因となり発症する緑内障で、糖尿病網膜症に関連して起こる合併症の中で、最も恐ろしいのが血管新生緑内障です。通常の緑内障とは、発症のプロセスが違います。糖尿病網膜症が重症になった場合、虹彩の部分に正常では存在しない血管が新しく出来て、房水の出口「シュレム管」がある「隅角」を圧迫し、シュレム管が塞がってしまう事で眼圧が上がり緑内障が起こります。失明の危険がとても高い病気です。

加齢黄斑変性と血管新生緑内障は一見関係なさそうに見えます。2つは血管新生という点で共通しています。

加齢黄斑変性には二つのタイプがあり、視力の経過や治療手段が異なります。

一つは萎縮〈いしゅく〉型(dry typeとも言われます。)があります。

このタイプは、黄斑の組織が加齢とともに萎縮してくるタイプです。詳しい原因はまだよくわかっておらず、今のところこれといった治療は行われませんが、病気の進行は遅く、萎縮部分が拡大して中心窩にかからない限り、高度の視力障害には至りません。ただし、萎縮型から滲出〈しんしゅつ〉型へ変化することもあるので、定期的に通院することが大切です。

もう一つは滲出〈しんしゅつ〉型(wet typeともいわれます。

健康な状態では存在しない新生血管と呼ばれる異常な血管が、黄斑部の脈絡膜〈みゃくらくまく〉(網膜より外側に位置し、血管が豊富な膜)から発生し、網膜側に伸びてくるタイプです。新生血管の血管壁は大変もろいために、血液が黄斑組織内に滲出し(漏れ出し)、黄斑機能を障害します。萎縮型よりも進行が早く、新生血管の成長とそこからの出血や滲出物により、視力低下や変視症〈へんししょう〉(物がゆがんで見える)、中央の視野が欠ける、などの症状が悪化していきます。新生血管はある時期がくれば活動を停止します。

ところがそのときはすでに黄斑の網膜組織は破壊されていて、永続的に高度の視力障害(矯正視力で0.1以下)が残ってしまいます。

そのため滲出型加齢黄斑変性は従来、視覚障害の主要原因の一つでした。しかし近年、有効性の高い治療法が相次いで登場し、視力の改善も目指せるようになりつつあります。

滲出型の場合の中心窩外の新生血管にはレーザー光凝固が有効です。

滲出型加齢黄斑変性の治療で最初のポイントは、新生血管の位置を確認することです。新生血管が中心窩に及んでいないのなら、それをレーザー光線で焼きつぶすレーザー光凝固術を施します。これにより新生血管がなくなると病気の進行は止まり、その時点の視機能を保つことができます。出血や滲出物が吸収されることで、視力が回復する人もいます。

しかし治療にはマイナス面もあります。血管を焼きつぶすほど強いレーザー光を当てるわけですから、新生血管とともに周囲の正常な網膜も破壊されてしまいます。そのため凝固部は絶対暗点(光を全く感知できない一点)になり、見ようとする物のすぐ横に、常に見えない部分ができてしまいます。これはすべての患者さんに生じてしまう現象ですが、一番大切な中心窩を守る治療を優先するためには避けられません。

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